賃貸で冷蔵庫マットは必要ない!は嘘?退去費用で後悔する前に

賃貸マンションの冷蔵庫の画像
賃貸マンションに設置した冷蔵庫 画像出典:筆者

賃貸物件への引越しを機に新しい冷蔵庫を設置するとき、「冷蔵庫のマットは本当に必要か?」と迷う方は少なくありません。インターネットやSNSでは「必要ない」という声も多く見かけますが、本当に敷かなくて大丈夫なのでしょうか。

床のへこみやキズで後悔したくない、そもそもマットはなんのために敷くのか、ニトリや100均の製品で十分なのか。新築とは違う賃貸ならではの注意点や、気になるゴキブリの問題、すでに設置してしまったけれど「あとから敷く」方法まで、悩みは尽きないものです。

この記事では、そんな「冷蔵庫マットは敷くべき?」というあなたのあらゆる疑問にお答えします。読み終える頃には、もう迷うことなく、ご自身の状況に合った最適な選択ができるようになっているはずです。

記事のポイント
  • マット不要論と、その裏にある真のリスク
  • 床のへこみと退去費用の請求ルール
  • 床を守る「保険」としてのマットの役割
  • 賃貸で後悔しない、最適なマットの選び方

「冷蔵庫マットは必要ない」は賃貸で後悔のもと?

冷蔵庫マットの画像
The Decision Lab・イメージ
  • なぜ「必要ない」と言われる?知っておきたい3つの理由
  • 冷蔵庫の床へこみは賃貸の退去時に費用請求される?
  • マットの下はゴキブリの温床に?湿気と汚れのリスク
  • 結局、冷蔵庫マットなんのために敷くのが正解?
  • 【体験談より】マットを敷かずに後悔したケースとは

なぜ「必要ない」と言われる?知っておきたい3つの理由

冷蔵庫マットが「必要ない」と言われるのには、いくつかの明確な理由が存在します。床を保護するアイテムのはずが、かえって問題を引き起こす可能性があるからです。ここでは、その主な3つの理由について解説いたします。

まず一つ目は、マット自体が床に張り付いてしまうリスクです。特に塩化ビニル(PVC)のような素材でできたシートは、長期間にわたって冷蔵庫の重みがかかることで、フローリングやクッションフロアに密着してしまうことがあります。

これを無理に剥がそうとすると、床材の表面を傷つけたり、ワックスが剥がれたりする原因になりかねません。最悪の場合、マットの色が床に移ってしまう可能性も考えられます。床を保護する目的で設置したにもかかわらず、逆にダメージを与えてしまっては本末転倒です。

二つ目の理由は、掃除の手間が増えるというデメリットです。冷蔵庫の下はもともとホコリや髪の毛が溜まりやすい場所ですが、マットを敷くことで冷蔵庫と床との隙間がさらに狭くなります。こうなると、掃除機のノズルが入りにくくなり、かえって汚れの温床になることもあります。

また、飲み物などをこぼした際にマットの下に液体が入り込んでしまうと、重い冷蔵庫をわざわざ移動させないと拭き取ることができません。このように、衛生的な環境を保つ上で、マットの存在が逆に手間を増やす一因となるのです。

そして三つ目は、湿気によるカビの発生です。冷蔵庫の稼働中は、本体からわずかな熱が放出されています。マットを敷くと、この熱と湿気が床との間にこもりやすくなり、通気性が悪化します。この環境はカビが繁殖するのに非常に適しており、気づかないうちに床材に黒いシミができてしまうケースも少なくありません。

特に湿度の高い季節や、日当たりの悪いキッチンでは注意が必要です。これらの理由から、単純にマットを敷けば安心というわけではなく、「必要ない」と判断する人がいるのです。

冷蔵庫の床へこみは賃貸の退去時に費用請求される?

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賃貸物件にお住まいの方が最も心配される点の一つが、退去時の原状回復費用でしょう。冷蔵庫のような重量のある家電を長期間設置した場合、床にへこみや跡が残ることは避けられません。この床のへこみが、果たして費用請求の対象になるのかを解説します。

結論から言うと、通常の生活の範囲内で生じた冷蔵庫の設置跡や床のへこみは、「通常損耗」または「経年劣化」と見なされるのが一般的です。そのため、原則として入居者が修繕費用を負担する必要はなく、大家さん側の負担で修繕される可能性が高いと言えます。

これは、国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」にも示されている考え方です。冷蔵庫は現代の生活に必須の家具・家電であり、それを設置したことで生じるへこみは、住んでいれば自然に発生するものと判断されるからです。

ただし、注意すべきケースも存在します。例えば、冷蔵庫を移動させる際に床を引きずってしまい、へこみではなく深いキズをつけてしまった場合です。これは入居者の不注意(善管注意義務違反)と見なされ、修繕費を請求される可能性があります。また、冷蔵庫の故障で水漏れが発生し、それを長期間放置したことでフローリングを腐食させてしまった場合なども、通常の使用範囲を超えたダメージとして扱われることがあります。

このように考えると、冷蔵庫マットの役割も見えてきます。マットは、このような予測不能なトラブルから床を保護し、万が一の際の修繕費請求のリスクを軽減するためのお守りのようなアイテムと言えるでしょう。たとえ通常損耗の範囲内であっても、貸主との無用なトラブルを避けるために、対策をしておく方がより安心できるかもしれません。

マットの下はゴキブリの温床に?湿気と汚れのリスク

冷蔵庫マットを敷く際に、意外と見落としがちなのが害虫のリスクです。対策を怠ると、マットの下がゴキブリなどにとって絶好の隠れ家、つまり「温床」になってしまう可能性があります。

その理由は、ゴキブリが好む環境の条件が揃いやすいからです。彼らが好むのは、「暗くて狭い場所」「暖かくて湿度の高い場所」、そして「エサがある場所」です。冷蔵庫の下は、まさにこの条件を満たしやすい空間なのです。冷蔵庫は稼働時にモーター部分から熱を発するため、冬でも比較的暖かく保たれています。マットを敷くことで光が遮られて常に暗い状態になり、床との間にわずかな隙間ができます。

ここに、キッチンの湿気や、調理中にはねた油、床に落ちた食べ物のカスやホコリが入り込むとどうなるでしょうか。湿気と暖かさでカビが発生し、食べカスはゴキブリにとってのご馳走になります。

掃除がしにくい場所であるため、一度このような快適な環境が作られると、彼らが住み着き、繁殖してしまうリスクが高まるのです。特に、通気性の悪い安価なシートや、湿気を吸いやすい段ボールなどで代用している場合は、より注意が必要になります。

もちろん、このリスクを軽減する方法はあります。例えば、マットの素材選びが重要です。湿気を通しにくく、耐久性の高いポリカーボネート製などのマットを選ぶと良いでしょう。また、害虫忌避成分が含まれた製品を活用するのも一つの手です。そして最も大切な対策は、定期的な掃除です。

数ヶ月に一度は冷蔵庫周りをきれいにし、ホコリや汚れを取り除く工夫をすることで、害虫の発生を抑制できます。マットを敷くことは安心につながりますが、それを清潔に保つ意識がなければ、新たな問題の原因になりかねないことを理解しておく必要があります。

結局、冷蔵庫マットなんのために敷くのが正解?

これまでの議論で、冷蔵庫マットにはメリットだけでなく、いくつかのデメリットやリスクがあることも明らかになりました。それを踏まえた上で、「結局、なんのためにマットを敷くのが正解なのか」という問いに答えるならば、その目的は単に「床のへこみ防止」という一点だけにはありません。言ってしまえば、賃貸住宅での予測不能なトラブルから床を守り、安心して生活するための「総合的な保険」として活用するのが正解と言えるでしょう。

まず、物理的なダメージからの保護という役割があります。前述の通り、冷蔵庫の重みによる通常のへこみは、賃貸の退去時に費用を請求される可能性は低いです。しかし、それはあくまで原則論です。例えば、掃除などで冷蔵庫を少し移動させた際に、うっかりキャスターで床に深いキズをつけてしまったらどうでしょうか。

これは通常損耗とは見なされず、入居者の過失として扱われる可能性があります。また、地震の際に冷蔵庫が振動でずれて床を傷つけることも考えられます。防振・防音効果のあるマットを敷いておくことで、こうした不測の事態によるダメージを軽減する効果が期待できるのです。

次に、より深刻なのが液体や汚れからの保護です。冷蔵庫は、時に水漏れなどのトラブルを起こすことがあります。あるいは、庫内で飲み物の容器が倒れ、気づかぬうちにドアの隙間から液体が漏れ出ているかもしれません。このような水分がフローリングに長時間触れていると、シミやカビ、さらには床材の腐食につながります。

こうした場合の修繕費は高額になることもあり、入居者への請求も十分に考えられます。マットを一枚敷いておけば、床への直接的な浸透を防ぐ防水シートの役割を果たし、最悪の事態を回避できる可能性が高まります。

そしてもう一つは、日々の精神的な安心感を得るためです。「床を傷つけていないだろうか」「何かこぼれていないか」といった小さな心配事を抱えながら生活するのは、意外とストレスになるものです。マットという物理的な対策を講じておくことで、こうした不安が和らぎ、より快適な賃貸生活を送ることができます。このように、複数のリスクを総合的にカバーしてくれるお守りのような存在、それが冷蔵庫マットを敷く本来の目的なのです。

【体験談より】マットを敷かずに後悔したケースとは

理屈の上では「通常の使用なら問題ない」と分かっていても、実際にマットを敷かなかったことで「あの時、敷いておけばよかった」と後悔したという声は、インターネット上の口コミサイトなどで決して少なくありません。ここでは、そうした体験談の中からよく見られる具体的な失敗ケースをいくつかご紹介します。

ある一人暮らしの方は、コストを考えてマットを敷かずに新生活をスタートさせました。しかしある日、冷蔵庫のドアポケットに入れていた麦茶のキャップが緩んでいたことに気づかず、数日にわたって少量ずつフローリングに漏れ出ていたそうです。

発見した時にはすでに遅く、冷蔵庫を動かすこともできずに隙間から拭き取るしかありませんでした。結果として、退去時に黒いシミを指摘され、フローリングの一部張替え費用として数万円を請求されてしまった、という後悔の念が綴られていました。

また、別のケースでは、クッションフロアの床に新型の冷蔵庫を設置した方の話がありました。脚によるへこみはある程度覚悟していたものの、ある時、冷蔵庫の裏に物を落としてしまい、少しだけ本体を動かしたそうです。その際、冷蔵庫本体の重みでキャスターが床にめり込み、くっきりとした筋状の凹みができてしまいました。これは単なる設置跡とは言えず、退去時にどう判断されるか、引越しの日までずっと不安な気持ちを抱えていたとのことです。

さらに、特に何もトラブルがなかったはずなのに、数年住んだマンションから引っ越す際に冷蔵庫を動かして驚いた、という方もいます。冷蔵庫の下の床だけが、周りのフローリングと明らかに色が違い、黒ずんで湿っぽい状態になっていたのです。おそらく、日々の結露や湿気がこもって、長期間かけて床材を劣化させてしまったのでしょう。

これらの体験談から分かるのは、予期せぬアクシデントや目に見えない場所での静かな劣化によって、後から大きな後悔につながる可能性があるという事実です。冷蔵庫マットは、こうした「万が一」を防ぐための、有効な対策の一つと言えるのかもしれません。

冷蔵庫マットは必要ない?賃貸で賢く床を守る選び方・使い方

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  • 結論、冷蔵庫マットは敷くべき?後悔しない判断基準
  • ニトリ製品の評判は?選び方のポイントを解説
  • 100均マットで代用できる?メリットと注意点
  • 冷蔵庫マットをあとから敷くのは可能?安全な方法
  • 新築でも必要か?賃貸との目的の違いとは
  • 【最終チェック】冷蔵庫マットは必要か?素材とサイズ

結論、冷蔵庫マットは敷くべき?後悔しない判断基準

これまでのメリット・デメリットを踏まえ、「結局、冷蔵庫マットは敷くべきなのか」という問いに対する私の考えを述べます。もしあなたが賃貸物件にお住まいなのであれば、答えは「特別な理由がない限り、敷くべき」です。これは法的な義務ではありませんが、後悔しないための賢明な判断と言えるでしょう。

その判断基準は3つあります。まず第一に、お住まいの床材の特性です。日本の賃貸住宅で多く採用されているフローリングやクッションフロアは、意匠性に優れる一方で、水分や長期間の荷重には決して強くありません。これらの床材の場合、冷蔵庫を保護するマットの必要性は非常に高いと考えられます。万が一、床を傷つけたりシミを作ってしまったりした場合のダメージは、マットの購入費用をはるかに上回る可能性があります。

第二の基準は、予期せぬトラブルへの備えです。通常の使用によるへこみは問題ないと解説しましたが、それはあくまでトラブルが起きなかった場合の話です。例えば、冷蔵庫の製氷機能の故障による水漏れや、移動の際に誤って付けてしまう深いキズは、あなたの過失と見なされ、高額な修繕費を請求されるリスクが伴います。冷蔵庫マットは、こうした万が一の事態からあなたを守る「保険」としての重要な役割を担っているのです。

そして最後の基準が、コストと精神的な安心感のバランスです。冷蔵庫マットは数千円程度で購入できます。一方で、床に何か問題が起きていないかと退去時まで心配し続ける精神的な負担は、目には見えませんが決して小さくありません。

わずかな初期投資で、数年間の安心と快適な生活が手に入ると考えれば、これほどコストパフォーマンスの良いアイテムも少ないのではないでしょうか。これらの基準から総合的に判断すれば、自ずと答えは見えてくるはずです。

ニトリ製品の評判は?選び方のポイントを解説

冷蔵庫マットの購入を検討する際、多くの方が候補の一つとして考えるのが、身近で便利な「ニトリ」の製品でしょう。ここでは、ニトリで販売されている冷蔵庫マットの特徴や実際の評判、そして購入する際の選び方のポイントについて解説します。

ニトリの冷蔵庫マットは、全国の店舗で手軽に購入できる利便性と、手に取りやすい価格帯が最大の魅力です。主にポリ塩化ビニル(PVC)製の透明なシートタイプが販売されており、インテリアの雰囲気を損なうことなく設置できる点が好評です。口コミを見ても、「サイズがS・M・Lと展開されていて、自宅の冷蔵庫に合わせやすい」「値段が手頃で助かる」といったポジティブな声が多く見受けられます。

一方で、ニトリ製品を選ぶ際には注意すべきポイントもいくつか存在します。まず、多くの製品は丸められた状態で梱包されているため、購入後に床に敷いても、しばらくは巻き癖が取れずに端が浮いてしまうことがあります。また、素材がPVCであるため、長期間同じ場所に敷き続けると、床材との相性によっては張り付きや色移りのリスクがゼロではない、という声も一部にはあります。

後悔しないためには、次のポイントを押さえて選ぶことが重要です。

一つ目は、冷蔵庫の容量(リットル)だけでなく、必ず設置場所の寸法(cm)を測り、冷蔵庫の脚やキャスターがしっかりと収まるサイズを選ぶこと。

二つ目は、床暖房が設置されているご家庭の場合、マットが床暖房に対応しているかを必ず確認することです。

そして三つ目は、PVC素材の特性を理解し、年に一度は大掃除などで冷蔵庫を動かし、床とマットの状態を確認する意識を持つことです。これらの点を理解した上で選べば、ニトリの製品は多くの方にとって満足のいく選択肢となるでしょう。

●冷蔵庫マットの選び方
項目 確認内容
サイズ 冷蔵庫の脚が四方ともに収まり、数センチ程度の余裕があるかを確認します。
素材 フローリングやクッションフロア等、ご自宅の床材との相性を考慮します。
厚み 冷蔵庫の稼働音や振動を軽減したい場合、目的に見合う厚さであるかを確認します。
形状 床全体を保護する「シート型」か、部分的に保護する「パッド型」か、用途に合わせて選びます。
滑り止め 地震の際のズレ防止のため、マットの裏面に滑り止め加工が施されているか確認します。
通気性 カビや床材の劣化を防ぐため、湿気がこもりにくい素材や構造であるかを確認します。
耐熱性 冷蔵庫の放熱や床暖房の熱による変形を防ぐため、十分な耐熱性があるか確認します。
掃除のしやすさ 万が一の液体こぼし等の際に、汚れを簡単に拭き取れる素材であるかを確認します。

100均マットで代用できる?メリットと注意点

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「冷蔵庫マットは欲しいけれど、できるだけ費用は抑えたい」と考えたとき、100円ショップのアイテムで代用できないか、と考える方もいるかもしれません。ジョイントマットやキッチン用の保護シートなど、応用できそうな商品は確かに存在します。

100均アイテムで代用する最大のメリットは、言うまでもなく圧倒的な価格の安さです。専用品なら数千円するところを、数百円で済ませられるのは大きな魅力でしょう。また、小さなマットを組み合わせるタイプであれば、設置スペースに合わせてサイズを自由に調整できるという利便性もあります。

しかし、その手軽さの裏には、多くの注意点とリスクが潜んでいます。結論から言うと、長期的な視点で見れば100均アイテムでの代用は推奨できません。最も大きな問題は、耐久性と耐荷重です。100均のマットは、冷蔵庫のような数十kgから100kgを超える重量物を、長期間支え続けるようには設計されていません。すぐに素材がへたってしまい、重みを分散する効果が薄れ、結局は床にへこみやキズができてしまう可能性が高いのです。

さらに、素材の安全性も懸念点です。冷蔵庫のモーターが発する熱によって、マットが変形したり、場合によっては溶けて床に張り付いてしまったりする危険性があります。滑り止め加工も不十分なことが多く、地震などの振動で冷蔵庫が動いてしまうリスクも高まります。また、ジョイントマットのように隙間が多い製品は、ホコリや水分が内部に入り込みやすく、カビや害虫の発生原因になることも考えられます。

これらのリスクを考慮すると、一時的な応急処置ならまだしも、大切な住まいの床を長期間守るという役割を任せるには力不足と言わざるを得ません。結果的に床を傷つけてしまっては、節約した意味がなくなってしまいます。安全と安心のためには、やはり専用に設計された冷蔵庫マットを選ぶのが最も賢明な選択です。

冷蔵庫マットをあとから敷くのは可能?安全な方法

「冷蔵庫マットの必要性は分かったけれど、もう設置してしまった…」という方もご安心ください。冷蔵庫マットをあとから敷くことは、正しい手順を踏めば十分に可能です。ただし、冷蔵庫は非常に重量のある家電製品ですので、安全には最大限の配慮が必要です。

まず、作業を始める前に、安全のため必ず冷蔵庫の電源プラグをコンセントから抜いておきましょう。次に、庫内に入っている飲み物や調味料のボトルなど、重いものやこぼれやすいものを可能な範囲で取り出しておくと、本体の重量が軽くなり作業がしやすくなります。

具体的な設置方法ですが、決して一人で無理に持ち上げようとしないでください。理想は二人以上で作業することです。まず、一人が冷蔵庫の片側をゆっくりと、床から数センチ浮く程度に手前へ傾けます。そして、もう一人がその隙間に、用意した冷蔵庫マットを滑り込ませるようにして差し込みます。

このとき、冷蔵庫の脚やキャスターがマットの上に完全に乗るように位置を調整するのがポイントです。片側が敷き終わったら、ゆっくりと冷蔵庫を床に戻し、今度は反対側を同じように傾けて、マットの残り半分を敷き込みます。

全体の設置が完了したら、冷蔵庫をゆっくりと元の位置に戻し、ガタつきがないかを確認しましょう。フローリングの床の場合は、冷蔵庫を傾ける際の支点となる部分に古いタオルなどを敷いておくと、床へのダメージをさらに軽減できます。

また、多くの冷蔵庫は、手前側の脚(アジャスター)を回して緩めると、本体を前後に移動させやすくなるキャスター機能が付いています。作業前に取扱説明書を確認してみることをお勧めします。焦らず慎重に行うことが、安全な設置への一番の近道です。

新築でも必要か?賃貸との目的の違いとは

これまで主に賃貸住宅の視点から解説してきましたが、「新築の持ち家」の場合は冷蔵庫マットは必要なのでしょうか。この問いに対する答えもまた、「敷くメリットは非常に大きい」と言えます。ただし、その目的は賃貸の場合と少しニュアンスが異なります。

賃貸住宅におけるマット設置の最大の目的は、「退去時の原状回復トラブルを回避する」という防御的な側面にあります。つまり、予期せぬキズや汚れによる修繕費の請求という金銭的なリスクから自分を守るための、いわば「対外的な対策」です。

一方、新築の持ち家における目的は、より積極的な「大切な我が家の資産価値を、末永く維持する」という側面にあります。誰かから請求される心配はありませんが、まっさらで美しい床に、冷蔵庫の重みによるへこみや、万が一の液体こぼれによるシミが付いてしまうのは、精神的にも避けたいものでしょう。

これは「自分自身の満足度」を高めるための、内面的な対策と言えます。将来、家をリフォームしたり、あるいは売却したりする可能性を考えた場合でも、床の状態を美しく保っておくことには大きな価値があります。

もちろん、共通する目的も多く存在します。冷蔵庫の稼働音や振動を軽減する防振・防音効果は、静かな新築の住環境をより快適にしてくれます。また、地震の際の転倒リスクを軽減する滑り止めとしての役割や、突発的な水漏れから床を守るという保険的な役割は、賃貸・新築を問わず非常に重要です。目的は少し違えど、どちらの住環境においても、冷蔵庫マットは床を保護し、安心をもたらしてくれる有効なアイテムなのです。

【最終チェック】冷蔵庫マットは必要か?素材とサイズ

ここまで様々な角度から冷蔵庫マットの必要性を解説してきました。最後に、ご自身の環境に最適な一枚を選ぶための最終チェックポイントとして、「素材」と「サイズ」の選び方を見ていきましょう。この2つを正しく選ぶことが、後悔しないための鍵となります。

まず「素材」の選び方です。現在主流となっている素材には、それぞれ特徴があります。最もおすすめなのは、強度と透明度に優れた「ポリカーボネート」です。警察の盾にも使われるほど衝撃に強く、耐熱性も高いため、床暖房に対応している製品も多いです。価格はやや高めですが、長期間にわたって変形や変色が少なく、安心して使用できます。

次に、ニトリなどでも手軽に購入できるのが「PVC(塩化ビニル)」です。安価な点がメリットですが、ポリカーボネートに比べると熱に弱く、長期間の使用で床に張り付くリスクがある点には注意が必要です。そして、防振・防音性を最優先するなら、脚の下に敷くタイプの「ゴム」製マットも有効です。ただし、製品によってはゴムの色が床に移る「ゴム汚染」の可能性もゼロではないため、商品説明をよく確認しましょう。

次に「サイズ」の選び方です。これは非常に重要で、必ず冷蔵庫本体の「幅」と「奥行き」を正確に測定してください。メーカーの公式サイトで型番を調べれば、正確な寸法(cm)が分かります。その上で、マットは冷蔵庫の寸法よりも少し大きめのサイズを選ぶのが基本です。脚がマットの端ぎりぎりに乗っている状態では、少しずれただけで床を傷つけてしまいます。四方に数cm程度の余裕があるサイズを選ぶと、万が一の際も安心です。

これらのチェックポイントを踏まえれば、「自宅の設置スペースに収まる、少し大きめのポリカーボネート製マット」が、多くの方にとって最も失敗の少ない選択と言えるでしょう。ご自身の予算と住環境に合わせて最適な一枚を選び、快適な冷蔵庫ライフをお送りください。

「冷蔵庫マット必要ない」は嘘?賃貸での必要性を総括

賃貸で冷蔵庫マットは「必要ない」という意見もありますが、設置を強く推奨します。通常のへこみは請求されにくいものの、予期せぬ水漏れや移動時のキズは自己負担のリスクが伴います。マットはこうしたトラブルから床を守る保険であり、退去時の不安を解消してくれるため、賃貸生活における大切なお守りと言えるでしょう。

記事のポイントをまとめます。

  • マットは床への張り付きや色移りを引き起こすリスクがある
  • マットを敷くと掃除が困難になり、かえって不衛生になる場合がある
  • マット下の湿気はカビやゴキブリなど害虫の発生原因になりうる
  • 冷蔵庫の重みによる通常のへこみは、賃貸では原則「通常損耗」扱い
  • 移動時の深いキズや水漏れ放置による床の腐食は、自己負担の可能性がある
  • マットの真の目的は、予期せぬトラブルから床を守る総合的な保険である
  • 退去時の不安を軽減する精神的な安心感も、敷くことの大きなメリット
  • 口コミでは飲み物漏れに気づかず、床にシミを作り後悔したケースがある
  • キャスター移動でクッションフロアに深い跡がつき、後悔する声もある
  • ニトリ製品は手頃だが、素材(PVC)の特性を理解して使う必要がある
  • 100均アイテムでの代用は、耐久性や安全性の観点から推奨できない
  • 素材は強度と耐熱性に優れるポリカーボネート製が最も安心でおすすめ
  • サイズは冷蔵庫本体の寸法より、四方に数cm余裕のあるものを選ぶのが基本
  • あとからでも正しい手順を踏めば、安全にマットを設置することは可能
  • 新築での目的は「資産価値の維持」、賃貸は「トラブル回避」と目的が異なる

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