ゴッドファーザー2のあらすじを徹底解説!難しい点を網羅

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映画『ゴッドファーザー2』を観終えたものの、その物語が非常に難しいと感じてはいませんか。

二つの時代が交錯する複雑なあらすじ、多くの登場人物が絡む相関図や豪華なキャストの役割、そしてゴッドファーザー2は前作の何年後から始まるのかといった時系列。

さらに、フレドの裏切りとは具体的に何だったのか、フランクはなぜ証言を変えたのか、そして観る者に深い印象を残すあのラストシーンの意味まで、多くの疑問が残るかもしれません。

当記事では、そうした疑問を解消するため、『ゴッドファーザー2』のあらすじを徹底解説します。

また、物語をより深く理解するために、復習としてゴッドファーザー1のあらすじや、続くゴッドファーザー3のあらすじにも触れながら、シリーズ全体の流れを分かりやすく整理していきます。

記事のポイント
  • マイケルと父ヴィトーの二重物語
  • フレドやフランクの裏切りの真相
  • 複雑な登場人物たちの詳細な相関図
  • マイケルの孤独を描いたラストの意味

ゴッドファーザー2のあらすじと二つの時代

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  • なぜ物語が難しいと言われるのか
  • アカデミー賞での評価と快挙
  • 復習:ゴッドファーザー1のあらすじ
  • ゴッドファーザー2は前作の何年後?
  • 登場人物の相関図と主要キャスト
  • ヴィトーのパート:若き日の物語

なぜ物語が難しいと言われるのか

映画『ゴッドファーザー PART II』の物語が「難しい」、あるいは「複雑」と感じられる主な理由は、二つの異なる時代の物語が並行して描かれる、その独特な構成にあります。この手法は、単に時系列を追うだけでは理解しにくい深みを生み出しています。

一つの物語は、前作から続く現代(1958年~1959年)のパートです。父の後を継いだドン、マイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ)が、ファミリーの権力を維持・拡大しようと苦悩する姿を描いています。

そしてもう一つは、過去(1901年~1925年)に遡るパートです。若き日の父ヴィトー・コルレオーネ(ロバート・デ・ニーロ)が、家族を殺されシチリアからニューヨークへ渡り、いかにしてコルレオーネ・ファミリーを築き上げたかという起源の物語が描かれます。

現代パートの複雑さ

マイケルのパートでは、ネバダ、マイアミ、キューバと舞台が目まぐるしく変わる中、多くの人物の思惑が絡み合います。

ユダヤ系マフィアのハイマン・ロスや、古参幹部のフランク・ペンタンジェリとの緊迫した権力闘争、キューバ革命の勃発による事業の混乱、そして裏切り者の捜索と上院の公聴会など、サスペンス要素が非常に濃くなっています。

このため、一度観ただけでは「誰が本当の敵なのか」「なぜマイケルは追い詰められているのか」といった人間関係の全貌を掴むのが難しく感じられるかもしれません。

過去パートとの対比

一方で、ヴィトーのパートは比較的直線的な物語です。ニューヨークのリトルイタリーで、住民を苦しめるドン・ファヌッチを暗殺し、人々の信頼と尊敬を集めて「ドン」としての地位を確立していく様子が描かれます。

監督のフランシス・フォード・コッポラは、この脚本において、家族や仲間との信頼を築き上げていく若きヴィトーの姿と、権力維持のために猜疑心に囚われ、家族(兄フレドや妻ケイ)との絆を失っていくマイケルの姿を、意図的に「対比」させています。

このように、『ゴッドファーザー PART II』の複雑さは、単なる続編に留まらない野心的な製作アプローチの結果です。この二つの時代を対比させながら観ることで、コルレオーネ・ファミリーという一大叙事詩の深みと、権力がもたらす孤独というテーマをより一層理解できるようになります。

アカデミー賞での評価と快挙

アカデミー賞での評価と快挙
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『ゴッドファーザー PART II』は、批評家から極めて高い評価を受け、映画史上でも稀に見る快挙を達成した作品として知られています。最も特筆すべき功績は、第47回アカデミー賞において、続編映画として史上初めて「作品賞」を受賞したことです。

前作『ゴッドファーザー』がすでに作品賞を受賞していたため、その続編が再び最高の栄誉である作品賞に輝いたことは、当時の映画界において衝撃的な出来事でした。これは、本作が単なる前作の模倣や蛇足ではなく、オリジナルと同等、あるいはそれ以上に重厚なドラマと芸術性を持った作品であると認められた証左です。

フランシス・フォード・コッポラ監督自身も、この作品で監督賞と脚色賞(原作のマリオ・プーゾと共同)を受賞し、その評価を不動のものにしました。

本作は合計11部門でノミネートされ、最終的に以下の主要6部門で受賞を果たしています。

受賞部門受賞者備考
作品賞フランシス・フォード・コッポラ 他続編として史上初の受賞
監督賞フランシス・フォード・コッポラ
助演男優賞ロバート・デ・ニーロ若き日のヴィトー・コルレオーネ役
脚色賞フランシス・フォード・コッポラ、マリオ・プーゾ
作曲賞ニーノ・ロータ、カーマイン・コッポラ
美術賞ディーン・タヴォウラリス 他

また、ロバート・デ・ニーロが若き日のヴィトー役で助演男優賞を受賞したことも大きな話題となりました。前作ではマーロン・ブランドが老年期のヴィトー役で主演男優賞を受賞しており、「異なる俳優が同じ役柄を演じてアカデミー賞を受賞する」という、これもまた稀有な記録を樹立しました。

これらの理由から、『ゴッドファーザー PART II』は単なるヒット映画の続編ではなく、製作、脚本、演技、音楽の全てにおいて高い芸術性が融合した、アメリカ映画史を代表する金字塔的な作品として評価されています。

復習:ゴッドファーザー1のあらすじ

『ゴッドファーザー PART II』の物語を深く理解するためには、前作『ゴッドファーザー』(1972年公開)のあらすじ、とりわけ主人公マイケル・コルレオーネがどのようにしてドンになったのか、その変化を把握しておくことが不可欠です。

前作は、当初マフィアの「仕事」を何よりも嫌っていた三男マイケルが、否応なくファミリーの渦中に巻き込まれ、最終的に冷徹なドンへと変貌していく過程を描いた物語です。『PART II』で描かれるマイケルの行動や苦悩は、すべてこの『PART I』での出来事に基づいています。

物語の始まりとマイケルの立場

物語は1940年代後半、ドン・ヴィトー・コルレオーネ(マーロン・ブランド)の娘コニーの盛大な結婚式から始まります。

この時点でのマイケル(アル・パチーノ)は、第二次世界大戦の英雄であり、恋人ケイ・アダムス(ダイアン・キートン)と堅実な未来を望む、ファミリーの犯罪とは無縁の青年でした。

彼は家族の「仕事」を手伝う兄ソニーとは一線を画していました。

転機となる襲撃と報復

しかし、父ヴィトーが新興の麻薬取引を断ったことで敵対ファミリーから襲撃され、重体に陥ります。家族の危機を目の当たりにし、さらにマイケル自身も、父の見舞いに訪れた病院で汚職警官マクラスキーに殴られる屈辱を味わいます。この一連の出来事が、彼の運命を決定づけました。

マイケルはそれまでの姿勢を一変させ、自ら敵対するソロッツォとマクラスキー警部の暗殺計画を立案し、レストランで二人を射殺します。この「報復」により、彼はカタギの世界に戻れなくなり、シチリアへの逃亡を余儀なくされます。

ドンへの継承と粛清

シチリアでの潜伏中、アメリカでは抗争が激化し、短気な長兄ソニーが殺害されてしまいます。父ヴィトーの許しを得て帰国したマイケルは、徐々にファミリーの中心人物となり、やがて父から正式にドンの地位を引き継ぎます。クライマックスでは、マイケルは妹コニーの息子の洗礼式に代父として出席します。

しかし、その神聖な儀式の裏で、彼はニューヨーク五大ファミリーのボスたちや、ファミリー内の裏切り者(義兄カルロ、古参幹部テシオ)の「暗殺」を一斉に指示しました。

このように、前作はマイケルが「家族を守るため」という大義のもと、次々と非情な決断を下し、権力の頂点に立つまでの壮絶なドラマでした。『ゴッドファーザー PART II』は、そのマイケルが手に入れた権力を維持するために、さらなる孤独と裏切りの深みへと沈んでいく姿を描いています。

ゴッドファーザー2は前作の何年後?

ゴッドファーザー2は前作の何年後?
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『ゴッドファーザー PART II』は、主に二つの時代の物語で構成されています。マイケル・コルレオーネがドンとして率いる現代のパートは、前作『ゴッドファーザー』のラストシーンから約3年が経過した1958年から始まります。

前作のラスト(1955年頃とされています)で、マイケルはニューヨーク五大ファミリーのドンたちを粛清し、コルレオーネ・ファミリーの頂点に立ちました。本作はその数年後、ファミリーの拠点をニューヨークからネバダ州タホ湖畔に移し、ラスベガスなどの合法ビジネス(カジノ運営)へ本格的に進出した時点から物語が動き出します。

映画の冒頭は、マイケルの息子アンソニーの初聖体式を祝う盛大なパーティーのシーンです。これは、前作の冒頭が妹コニーの結婚式であった構成を踏襲しています。しかし、その内情は大きく異なり、マイケルがドンとして直面する新たな問題や陰謀が次々と明らかになっていきます。

一方で、本作にはもう一つの時間軸が存在します。それは、マイケルの父ヴィトー・コルレオーネ(ビトー)の若き日を描いた過去のパートです。この物語は1901年のシチリアから始まり、ヴィトーがアメリカへ移民し、ニューヨークでファミリーを築き上げていく1925年頃までの軌跡を追っています。

このように、『ゴッドファーザー PART II』は、前作から数年後のマイケルの苦悩に満ちた物語と、数十年前の父ヴィトーの成功の物語を巧みに対比させながら進行するのが最大の特徴です。

登場人物の相関図と主要キャスト

『ゴッドファーザー PART II』の人間関係を理解する鍵は、前述の通り「マイケルの現代パート(1958年~)」と「ヴィトーの過去パート(1901年~)」の二つに分けて登場人物を整理することです。それぞれの時代で中心となる人物とキャストは異なります。

主要な登場人物の関係性を、二つの時代に分けて以下にまとめます。

時代人物名キャスト相関・役割
現代パート (1958年~)マイケル・コルレオーネアル・パチーノ二代目ドン。ファミリーの合法化と権力維持に苦悩する。
トム・ヘイゲンロバート・デュヴァルファミリーの弁護士(コンシリエーリ)。マイケルの義兄。
ケイ・アダムスダイアン・キートンマイケルの妻。夫の冷酷な変貌に耐えられなくなる。
フレド・コルレオーネジョン・カザールマイケルの兄(次男)。弟への劣等感から裏切りに加担。
コニー・コルレオーネタリア・シャイアマイケルの妹。前作の夫の死後、自堕落な生活を送る。
ハイマン・ロスリー・ストラスバーグユダヤ系マフィアの大物。マイアミとキューバを拠点とする。
フランク・ペンタンジェリマイケル・V・ガッツォNYの古参幹部。ロサト兄弟との縄張り争いでマイケルと対立。
過去パート (1901年~)ヴィトー・コルレオーネロバート・デ・ニーロ若き日の初代ドン。シチリアからNYへ渡り組織を築く。
ドン・ファヌッチガストーネ・モスキンリトルイタリーを牛耳る恐喝屋。ヴィトーが暗殺する。
ジェンコ・アッバンダンドフランク・シベロヴィトーの旧友。オリーブオイル会社の共同経営者。
ピーター・クレメンザブルーノ・カービーヴィトーの仲間。のちのコルレオーネ・ファミリー幹部。
ドン・チッチオジュゼッペ・シラートシチリアのマフィア。ヴィトーの家族の仇。

この二つの時代をまたぐキャストの中で、ロバート・デ・ニーロは若き日のヴィトーを見事に演じ切り、アカデミー助演男優賞を受賞しました。前作でマーロン・ブランドが演じたヴィトーの風格や話し方を研究しつつ、独自の若きドンの姿を確立した演技は高く評価されています。

ヴィトーのパート:若き日の物語

ヴィトーのパート:若き日の物語
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『ゴッドファーザー PART II』におけるヴィトー・コルレオーネ(ロバート・デ・ニーロ)のパートは、映画全体の約3分の1を占める重要な「あらすじ」であり、初代ドンがいかにして「ゴッドファーザー」と呼ばれる存在になったかを描く物語です。

このパートは、マイケルの冷徹な権力維持の物語とは鮮やかな「対比」をなしており、ヴィトーが家族愛と地域社会の信頼を基盤に成り上がっていく姿が描かれます。

始まり:シチリアからの逃亡

1901年、シチリア島のコルレオーネ村。9歳のヴィトー・アンドリーニは、地元のマフィアのボス、ドン・チッチオによって父、兄、母を次々と殺害されます。

村人の手引きで彼は一人アメリカへ向かう移民船に乗り込み、ニューヨークのエリス島に到着します。この時、入国管理官が彼の出身地名を誤読し、「ヴィトー・コルレオーネ」として記録されました。

転機:ファヌッチの暗殺

1917年、ニューヨークのリトルイタリー。ヴィトーは成長し、妻カルメラと長男ソニーに恵まれ、食料品店で真面目に働いていました。しかし、地域を牛耳る恐喝屋ドン・ファヌッチの横槍で仕事を失います。

その後、ピーター・クレメンザやテシオといった仲間と出会い窃盗などで生計を立てますが、やがてファヌッチから高額なみかじめ料を要求されます。ヴィトーは仲間を説得し、祭りの日、一人でファヌッチの追跡と暗殺を実行します。

ドンへの道と報復

ファヌッチ殺害は、ヴィトーが単なる犯罪者ではなく、住民を搾取から解放した「力ある人物」として尊敬を集めるきっかけとなりました。彼は人々の相談事やトラブルを公正に解決し、地域社会の信頼を勝ち取っていきます。

そして旧友ジェンコとオリーブオイル輸入会社「ジェンコ貿易会社」を設立し、表向きのビジネスも成功させます。1925年、彼は家族を連れて故郷シチリアへ凱旋し、オリーブオイル事業のパートナーであるドン・トマシーノの協力を得て、家族の仇である老いたドン・チッチオを自らの手で斬殺し、報復を果たしました。

このように、ヴィトーの物語は、彼が「ファミリー」を築き上げ、尊敬を集めるドン・コルレオーネへと成長していく過程を丹念に描いています。

ゴッドファーザー2のあらすじと物語の核心

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  • マイケルのパート:ドンとしての苦悩
  • ハイマン・ロスの実在モデルは誰?
  • フレドの裏切りとは?その結末
  • フランクがマイケルを誤解した理由
  • フランクはなぜ証言を変えたのか
  • 孤独を象画像を象徴するラストシーン
  • 続編『ゴッドファーザー3』のあらすじ

マイケルのパート:ドンとしての苦悩

『ゴッドファーザー PART II』におけるマイケル・コルレオーネのパートは、父ヴィトーから受け継いだ絶大な権力を維持し、さらにファミリーの事業を合法化しようと苦闘するドンとしての「苦悩」と「孤独」を描くことが物語の主軸です。

彼はファミリーを守るという大義のために次々と冷徹な決断を下しますが、その過程で皮肉にも最も大切なはずの家族との絆を失っていく姿が描かれます。

マイケルが直面する苦悩は多層的です。

第一に、ファミリーの組織がネバダ州のカジノ運営から、遠くは「キューバ」の利権にまで及び、政治家や他のマフィアとの関係が前作以上に「複雑」化している点です。

第二に、父の時代とは異なり、常に内外からの「暗殺」の脅威に晒され、もはや誰も信用できないという猜疑心に苛まれます。

そして第三に、彼の非情な「仕事」のスタイルが、妻ケイや兄「フレド」との間に決定的な亀裂を生んでしまう点です。

絶え間ない裏切りと陰謀

映画の冒頭、マイケルはネバダ州タホ湖の邸宅で、妻ケイと共に寝室を「襲撃」されます。これはごく身近な人間に裏切り者がいることを示唆し、彼の孤独な戦いの始まりを告げる象徴的な「シーン」です。

彼は、父ヴィトーの代からの盟友であったユダヤ系マフィアの大物「ハイマン・ロス」との巧妙な権力闘争に巻き込まれていきます。

マイケルは「キューバ」での利権拡大を目指しますが、ロスの策略と「キューバ革命」の勃発という予期せぬ事態により、最大の窮地に立たされます。

組織と家族の崩壊

マイケルは同時に、アメリカ本国でも上院の「公聴会」に召喚され、コルレオーネ・ファミリーの「犯罪」行為について厳しい追及を受けます。ここで古参幹部「フランク・ペンタンジェリ」が組織に背き、証言台に立つという最大の危機を迎えます。

外部の敵だけでなく、内部の裏切りとも戦わなければならないマイケルの「苦悩」は深まります。さらに、妻ケイは彼の冷酷な変貌に耐え切れず、お腹の子を堕胎していたという衝撃の事実を告白し、二人の関係は完全に破綻します。

そして最終的に、兄「フレド」の「裏切り」を知り、ファミリーの掟に従い彼を「殺害(粛清)」するという、最も重い決断を下すに至ります。

このように、マイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ)のパートは、彼が「ドン」として外部の敵と戦うと同時に、内部の裏切りや家族の崩壊という二重の苦難に直面する重厚な「ドラマ」です。

父ヴィトーが築いた「ファミリー」を守ろうとすればするほど、彼自身が人間性を失い「孤独」の闇に沈んでいく悲劇が、本作の「あらすじ」の核心となっています。

ハイマン・ロスの実在モデルは誰?

ハイマン・ロスの実在モデルは誰?
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『ゴッドファーザー PART II』において、マイケル・コルレオーネの最大の敵として君臨するユダヤ系マフィアの大物、ハイマン・ロス。この「キャラクター」には、実在した伝説的なマフィア「マイヤー・ランスキー」という人物がモデルになっていると広く知られています。

ロスとランスキーには、その経歴や人物像において多くの共通点が見受けられます。

第一に、二人ともイタリア系マフィア(コーサ・ノストラ)と強固な協力関係を築き上げたユダヤ系の「ボス」であった点です。

第二に、カジノ経営や賭博ビジネスで巨万の富を築き上げ、特に禁酒法時代以降のアメリカ裏社会において絶大な「権力」と影響力を持っていた点。

第三に、ランスキーが「キューバ」のハバナでカジノ利権を独占し、当時のバティスタ政権と密接な関係にあったという史実が、映画の「キューバ」におけるエピソードに色濃く反映されているからです。

ランスキーとの類似点

映画の中でロスは、表向きは病弱で温厚な老人として振る舞いながら、その裏では冷徹な計算に基づきマイケルを巧妙に追い詰めていきます。

これは「マフィアの会計士」とも呼ばれ、決して自ら表舞台には立たず、知能犯としてFBIの追及を逃れ続けたランスキーのイメージと見事に重なります。

また、劇中でロスがヴィトー・コルレオーネの旧友であったように、実際のランスキーもラッキー・ルチアーノ(ヴィトーのモデルの一人とされる)と終生の盟友関係にありました。

映画と史実の相違点

ただし、物語の「最後」は史実と異なります。映画の終盤、ロスは革命後の「キューバ」から逃れイスラエルへの亡命を図りますが拒否され、「マイアミ」の空港でアメリカに送還されたところを、マイケルの「部下」ロッコによって「射殺」されます。

実際のランスキーも「キューバ革命」で多大な資産を失い、後にイスラエルへの移住を試みましたが拒否され、アメリカに送還されました。

しかし、彼は映画のロスとは異なり、逮捕・訴追はされたものの決定的な有罪判決を受けることはなく、1983年にフロリダで病死しています。映画では、マイケルの非情さを際立たせるため、より劇的な結末が採用されました。

このように、ハイマン・ロスという「人物」は、マイヤー・ランスキーという実在のマフィアの経歴や特徴を色濃く反映させることで生まれました。史実の要素を巧みに「ドラマ」へ組み込むことで、『ゴッドファーザー』「シリーズ」のリアリティと物語の深みが増しています。

フレドの裏切りとは?その結末

『ゴッドファーザー PART II』における次兄フレド・コルレオーネの「裏切り」は、マイケルが最も信頼すべき肉親から受けた決定的な仕打ちであり、マイケルの「孤独」と非情さを決定づける、物語の核心的な「あらすじ」の一つです。

彼の裏切りは、明確な金銭や「権力」のためというよりも、有能な弟マイケルへの積年の劣等感や嫉妬心、そしてファミリーの中で正当な扱いを受けていないという不満から生じたものでした。

フレドが裏切った理由は、彼がファミリーの中で常に「軽く扱われている」と感じていたためです。彼はコルレオーネ家の「兄弟」でありながら、父ヴィトーの代から、亡き長兄「ソニー」や弟マイケル(「アル・パチーノ」)と比較され、「使い走り」のような「仕事」しか与えられず、強い不満と疎外感を抱いていました。

その心の隙を、マイケルの敵であるハイマン・ロスと、その「部下」であるジョニー・オーラに巧みに突かれたのです。

フレドの具体的な裏切り行為

フレドは、ジョニー・オーラから「自分たちのビジネスを手伝えば、ファミリー内でのあなたの価値が上がり、相応の敬意と報酬が得られる」と持ち掛けられます。

彼はこれがマイケルへの直接的な「暗殺」計画に繋がるとは深く認識していなかった、あるいは認識が甘かったと後に弁明しますが、結果として以下の重大な情報漏洩を行いました。

  1. マイケルの寝室の場所や警備体制といった、ファミリー内部の人間しか知り得ない機密情報を提供し、冒頭のマイケルとケイの「襲撃」事件を手引きしました。
  2. マイケルが「キューバ」に滞在している間もロス側と密かに接触を続け、コルレオーネ・ファミリーの内部情報を流していました。

裏切りの発覚とフレドの最期

マイケルは当初から身内の裏切りを疑っていましたが、「キューバ」でフレドがジョニー・オーラと親しげに会話しているのを目撃し、その裏切り者が実の兄であったことを確信します。マイケルはフレドに対し「お前だったのか」と告げ、「死の口づけ」と共に絶縁を宣言します。

「その後」、母カルメラの葬儀で妹「コニー」の懇願もあり、一度はフレドを許すかのように抱きしめます。しかし、マイケルの決意は固く、それは「母が生きているうちは手を出さない」という彼なりの最後の温情に過ぎませんでした。

物語の「最後」、マイケルは腹心の「部下」アル・ネリに命じ、タホ湖でアンソニー(マイケルの「息子」)と釣りをしていたフレドを、ボートの上で「射殺」させます。マイケルは、その銃声が響くのを邸宅の窓から一人、苦悩に満ちた表情で見つめていました。

フレドの「裏切り」は、彼自身の弱さと嫉妬心が生んだ悲劇です。そして、実の「兄弟」であるフレドの「殺害」を決断したことは、マイケル・コルレオーネがファミリーの「ドン」として、もはや後戻りできない非情な道を選び、完全な「孤独」に陥ったことを象徴する結末となっています。

フランクがマイケルを誤解した理由

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『ゴッドファーザー PART II』において、コルレオーネ・ファミリーの古参幹部であるフランク・ペンタンジェリが、ドンであるマイケルに裏切られたと誤解した背景には、宿敵ハイマン・ロスの周到な策略が存在します。フランクの誤解は、ロスの配下であるロサト兄弟による暗殺未遂事件が決定打となりました。

この誤解が生まれた理由は、主に三つの要因が重なったためです。

第一に、フランクはロサト兄弟とのニューヨークにおける縄張り争いで不満を募らせており、映画冒頭のパーティーでマイケルに仲裁を求めますが、ロスとの関係を重視するマイケルから「我慢しろ」と一蹴され、強い不信感を抱いていました。

第二に、マイケルは黒幕がロスであると見抜きながらも、ロスを油断させるために、あえてフランクに「ロサト兄弟と和解するフリをしてほしい」と危険な役回りを依頼します。

そして第三に、フランクがその依頼通りに会談場所へ向かった際、ロサト兄弟に襲撃されます。

決定打となった「マイケルの伝言」

フランクがロサト兄弟にガロット(絞殺用の紐)で首を絞められる絶体絶命の瞬間、暗殺者は「マイケル・コルレオーネがよろしくと言っている(Michael Corleone says hello)」という言葉を彼に告げます。

これは、この襲撃がマイケルの指示であるとフランクに信じ込ませるための、ハイマン・ロスによる巧妙な罠でした。

フランクにしてみれば、「マイケルとの対立」「マイケルの依頼による会談」「マイケルの名による襲撃」という全ての状況証拠が、マイケルが自分を裏切ったことを示していました。

誤解が招いた最悪の事態

この会談場所には偶然警察が踏み込み、フランクは一命を取り留めます。しかし、マイケルに裏切られ、殺されかけたと完全に誤解したフランク・ペンタンジェリは、マイケルへの報復を決意します。

彼はFBI(連邦捜査局)と取引し、組織犯罪を追及する上院の公聴会において、コルレオーネ・ファミリーの内情を暴露する「証人」となる道を選びました。

このように、フランクがマイケルを誤解したのは、彼自身の不満と猜疑心を宿敵ハイマン・ロスに巧みに利用された結果です。ロサト兄弟の偽の伝言が、マイケルとフランクの信頼関係を決定的に破壊し、ファミリーを最大の危機に陥れることになりました。

フランクはなぜ証言を変えたのか

上院の公聴会でマイケル・コルレオーネの犯罪を暴露するはずだったフランク・ペンタンジェリが、土壇場で証言を覆した理由は、傍聴席にいた「シチリアから来た自身の兄」の姿を目の当たりにしたためです。

この兄の登場は、マイケルによる無言の圧力であり、フランクにマフィアの掟(オメルタ:沈黙の掟)と家族の身の危険を同時に思い出させる、極めて冷徹な戦略でした。

フランクの兄、ベンチェンゾ・ペンタンジェリは、マフィアの「仕事」とは無関係の、古き良きシチリアの伝統の中で生きてきた人物として描かれています。彼が傍聴席にいることの意味は、二重の脅威をフランクに与えました。

家族への無言の脅迫

第一の理由は、家族の安全に対する脅威です。

マイケルがフランクの兄をシチリアから呼び寄せ、公聴会の場に同席させることができたという事実そのものが、「お前がファミリーを裏切る証言をすれば、故郷に残したお前の家族がどうなるか分かっているな」という、マイケルからの暗黙のメッセージでした。

兄は事実上の「人質」としてフランクの前に現れたのです。

沈黙の掟(オメルタ)の喚起

第二の理由は、マフィアとしての名誉と羞恥心です。

フランクの兄は、ファミリーの名誉や沈黙の掟を重んじるシチリアの象徴です。

その尊敬する兄の前で、自らがファミリーを裏切り、政府に情報を売るという「恥ずべき行為」をすることへの強烈な罪悪感と羞恥心がフランクを襲いました。彼は、たとえマイケルに裏切られたと思ったにせよ、一族の名誉を汚すことはできなかったのです。

この結果、証言台に立ったフランクは、事前にFBIと準備していた供述調書の内容をすべて否定し、「自分は何も知らない」「すべてFBIに作られた話だ」と証言を変えました。これにより、マイケルに対する告発は決定的な証拠を失い、公聴会はマイケルの勝利に終わります。

フランクは証言を変えることで、マイケルに対する最後の抵抗を放棄し、自らの運命を受け入れました。その後、彼は刑務所でトム・ヘイゲンと面会し、「古代ローマでは裏切り者が自決すれば家族は守られた」という話を聞き、自ら浴槽で手首を切って命を絶ちます。

これは、彼がマフィアの掟に従い、自らの死と引き換えに残された家族の名誉と安全を守ったことを意味しています。

孤独を象徴するラストシーン

孤独を象徴するラストシーン
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『ゴッドファーザー PART II』の「ラストシーン」は、マイケル・コルレオーネが権力の頂点に立ちながら、同時に人間として完全な「孤独」に陥った姿を、強烈な「対比」を用いて描いています。彼はファミリーを守るという名目のもと、全ての敵と裏切り者を排除しましたが、その代償として家族の絆という最も大切なものを失いました。

この映画の「最後」が観客に強い印象を残す理由は、マイケルが下した冷酷な決断の集大成として提示されるからです。

彼は宿敵ハイマン・ロスを「射殺」し、裏切ったフランク・ペンタンジェリを自決に追い込みました。そして何よりも、ファミリーを裏切った実の兄「フレド」の「殺害」を命じました。

マイケルはビジネスの面では「成功」し、ドンの「権力」を確固たるものにしましたが、その過程で妻ケイは彼に絶望して去り、彼は自ら肉親の血を手に染めました。

庭で一人佇む現在のマイケル

映画のクロージングショットは、マイケルがタホ湖の邸宅の庭で、一人、虚ろな表情で物思いに沈む姿を捉えています。

全ての抗争に勝利したはずの彼の表情に、達成感や喜びはありません。

そこにあるのは、全てを失った男の深い「孤独」と虚無感だけです。彼はドンとして君臨しましたが、愛する「家族」は崩壊し、彼を理解する者は誰もいなくなりました。

1941年の回想シーンとの対比

この現在の「孤独」な姿を際立たせるため、直前に一つの回想「シーン」が挿入されます。それは1941年12月、日本軍による真珠湾攻撃の直後、コルレオーネ一家が父「ヴィトー」の誕生日を祝うために集まった日の出来事です。

この「シーン」では、まだ「ゴッドファーザー」の「仕事」とは無縁だった若きマイケル(「アル・パチーノ」)が、家族(兄「ソニー」、兄「フレド」、妹「コニー」、義兄「トム」)に対して、大学を辞め海兵隊に志願したことを打ち明けます。

父の意向に反するその決断に長兄「ソニー」は激怒しますが、気弱な「フレド」だけが「偉いよ」とマイケルの選択を支持します。この瞬間、フレドはマイケルを唯一理解する「兄弟」でした。

しかし、家族が父を迎えるために席を立つ中、マイケルは「一人」テーブルに残ります。この「過去」の場面は、マイケルが自らの意志で家族の輪から外れた最初の「孤独」の瞬間を示唆しています。

この回想「シーン」は、皮肉な真実を浮き彫りにします。かつて自分を唯一支持してくれた兄フレドを、マイケルは「ドン」となった現在、自らの手で粛清しました。

『ゴッドファーザー PART II』の「ラスト」は、過去に自ら選んだ「孤独」が、時を経て、冷酷な決断の果てに決定的な「孤独」としてマイケルに返ってきたことを象徴しているのです。

続編『ゴッドファーザー3』のあらすじ

『ゴッドファーザー PART II』の「続編」にあたる『ゴッドファーザー PART III』(1990年「劇場公開」)は、前作から約20年後の1979年を舞台に、老境に入ったマイケル・コルレオーネの「最期」と「贖罪」を描いた「シリーズ」完結編です。

彼は過去に犯した罪、特に兄「フレド」を「殺害」したことへの深い「苦悩」と罪悪感を抱え続け、一族の「仕事」を非合法な「マフィア」の世界から完全に合法化しようと最後の戦いに挑みます。

マイケルは「ドン」としての「権力」を使い、莫大な資産を「ヴィトー・コルレオーネ財団」を通じて慈善事業に寄付し、バチカン(ローマ教皇庁)から叙勲されるほどの社会的地位を確立しています。

彼の目的は、コルレオーネ・ファミリーの「犯罪」のイメージを払拭し、子供たちにクリーンな遺産を残すことでした。

合法化への道と新たな後継者

マイケルは、バチカン銀行の莫大な損失を補填する見返りとして、ヨーロッパの巨大不動産企業「インモビリアーレ」社の経営権を掌握しようと画策します。これが彼の合法化に向けた最後の大仕事でした。

しかし、バチカン内部の腐敗した聖職者や、イタリア政財界の黒幕であるドン・ルケージらの妨害に遭い、再び血なまぐさい抗争に巻き込まれていきます。

一方、マイケルの「息子」アンソニーは、父の「仕事」を嫌いオペラ歌手の道を選びます。そんな中、マイケルの前に長兄「ソニー」の私生児であるヴィンセント・マンシーニ(アンディ・ガルシア)が現れます。

マイケルは、ヴィンセントの荒々しい気性の中に若き日の「ソニー」の姿と「ドン」の資質を見出し、彼を新たな後継者として育て始めます。

しかし、ヴィンセントとマイケルの娘メアリー(ソフィア・コッポラ)が恋仲になるという、マイケルにとって許しがたい「ドラマ」が発生します。

罪の告白とシチリアの悲劇

物語のクライマックスは、マイケルの故郷である「シチリア」のパレルモが舞台です。マイケルは、ランベルト枢機卿(のちの新法王ヨハネ・パウロ1世)に「フレド」殺害という最大の罪を涙ながらに「告白」し、許しを請います。

しかし、贖罪は叶いません。「息子」アンソニーがオペラデビューを飾る「劇場」で、マイケルの敵対勢力による最後の「襲撃」計画が進行します。

オペラ終演後、劇場前の階段で敵の殺し屋モスカがマイケルを狙撃します。しかし、その銃弾はマイケルを逸れ、隣にいた最愛の娘メアリーの命を奪ってしまいます。

娘の亡骸を抱きしめ、声にならない叫びを上げるマイケルの姿は、彼が過去の罪に対して支払うにはあまりにも過酷な代償でした。

このように、『ゴッドファーザー3』の「あらすじ」は、罪から逃れようとしたマイケルが、「最後」に最も愛する者を失い、全てを失った「孤独」の中で静かに死を迎えるまでを描いています。

2020年には、監督「フランシス・フォード・コッポラ」自身による再編集版『ゴッドファーザー〈最終章〉:マイケル・コルレオーネの最期』が「公開」され、この悲劇的な「物語」の結末がより鮮明に描き直されました。

ゴッドファーザー2のあらすじと核心を総括

ゴッドファーザー2のあらすじの核心は、現代のドン・マイケルの苦悩と、若き父ヴィトーの成功譚という二つの時代を並行して描く構成にあります。権力維持のため、フレドの裏切りなど様々な試練に直面し、非情な決断の末に孤独を深めるマイケル。対照的に、信頼を基にファミリーを築き上げるヴィトー。この巧みな対比が重厚なドラマを生み、続編として史上初のアカデミー作品賞に輝きました。

記事のポイントをまとめます。

  • 二つの時代を並行して描く構成が本作の難しさだ
  • 続編映画として史上初の作品賞を受賞した快挙
  • 前作はマイケルが冷徹なドンへ変貌する物語だ
  • マイケルのパートは前作の約3年後から始まる
  • マイケル役アル・パチーノ、若きヴィトー役デ・ニーロ
  • ヴィトーはシチリアからNYへ渡り組織を築いた
  • ファヌッチ暗殺により住民の尊敬を集めドンとなった
  • マイケルはドンとして権力維持と合法化に苦悩する
  • ハイマン・ロスのモデルはマイヤー・ランスキーである
  • フレドは弟への嫉ât心からロスの策略に加担した
  • マイケルは裏切った兄フレドの殺害(粛清)を決断した
  • フランクはロスの罠でマイケルに誤解を抱き裏切った
  • フランクは公聴会で兄の姿を見て証言を覆した
  • ラストは権力の頂点とマイケルの完全な孤独を描く
  • 続編『PART III』はマイケルの最期と贖罪の物語だ

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