マイクロブタはうるさい?後悔する前に知るべき現実

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マイクロブタとの生活を夢見る時、鳴き声がうるさいのではないか、という心配は多くの人が抱く最初の疑問です。しかし、本当に後悔しないためには、「人間に懐きますか?」「一人の留守番はできる?」といった日常の疑問から、鳴き声以外の様々な欠点にも目を向ける必要があります。

例えば、よだれの多さや口臭予防といった日々のケア。そして、多くの人が驚く大人の大きさや、成長して「可愛くない」と感じてしまうかもしれない現実。安易に「マイクロブタより小さい豚」を探し始めてしまう前に、知るべきことがたくさんあります。

さらには、10年を超える寿命を全うする責任、「可哀想」「食べる」といった命を巡る議論、そして最悪の場合「譲ります」と手放してしまう悲しい結末まで、様々な側面が存在します。この記事では、そうした全ての疑問や不安に向き合い、マイクロブタとの生活を心から楽しむための知識を徹底解説します。

記事のポイント
  • 鳴き声に隠された要求や不安などの感情
  • 鳴き声以外の食事管理や習性といった欠点
  • 想像以上に大きくなる成体のリアルなサイズ
  • 10年以上に及ぶ寿命と終生飼育の覚悟

マイクロブタはうるさい?鳴き声レベルと対策

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  • 要求や不安のサイン?大きな鳴き声を出す理由
  • お留守番は寂しくて鳴いてしまう?知っておきたい習性
  • 人には懐くの?鳴き声でわかる気持ちのサイン
  • 鳴き声だけじゃない?知っておきたいマイクロブタの欠点
  • 気になる音やニオイは?よだれの多さと口臭予防

要求や不安のサイン?大きな鳴き声を出す理由

マイクロブタが大きな鳴き声を発するのは、飼い主に対して何かを伝えようとしている重要なサインです。主に「強い要求」と「恐怖や不安」という、二つの理由が考えられます。

まず、ブタは非常に賢い動物であり、自分の要求を伝えるために鳴き声を使います。例えば、食事やおやつの時間が近づくと、期待から「ブヒッ」という可愛らしい声を出しますが、待ちきれなくなると「ピギャー!」といった甲高い、大きな鳴き声に変わることがあります。

これは、「早くごはんが欲しい」という強い要求の表れです。このとき、鳴けば要求が通ると学習してしまうと、要求鳴きが癖になる可能性もあるため、適切なしつけが必要になります。

一方で、恐怖や不安を感じた時にも、自己防衛のために大きな鳴き声を発します。マイクロブタは特に、急に抱き上げられたり、足が地面から離れたりすることに強い不安を感じる動物です。そのため、予期せぬタイミングで抱っこしようとすると、驚きと恐怖から絶叫のような鳴き声を上げることがあります。

他にも、掃除機の大きな音や、見知らぬ人・動物の出現など、身の危険を感じる環境の変化に対しても、警戒心から激しく鳴くことがあります。

このように、大きな鳴き声は単に「うるさい」のではなく、彼らの気持ちの表れです。その行動の裏にある理由を理解し、彼らが何に不安を感じ、何を求めているのかを察してあげることが、良い関係を築く上で非常に重要になります。

お留守番は寂しくて鳴いてしまう?知っておきたい習性

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マイクロブタに留守番をさせると、寂しさや不安から鳴いてしまうのではないかと心配になる方は多いでしょう。結論として、その可能性は十分にあります。なぜなら、ブタは本来、群れで生活する社会性の高い動物だからです。

この習性から、一頭だけで長時間過ごすことに本能的なストレスを感じやすいと言われています。飼い主という信頼できる家族がいない状況は、彼らにとって大きな不安要素となり得ます。特に、まだ新しい環境に慣れていない時期や、飼い主との愛着形成が十分でない段階では、不安から鳴き声を発してしまうことがあるでしょう。

ただし、すべてのマイクロブタが留守番中に鳴き続けるわけではありません。多くの場合は、飼い主がいない時間は寝て過ごしていることがほとんどです。留守番を上手にさせるためには、彼らが安心して過ごせる環境を整えることが不可欠です。

例えば、出かける前にはたくさん遊んであげて、適度な運動でエネルギーを発散させておくと、落ち着いて休みやすくなります。また、飼い主の匂いがついた毛布やタオルをベッドに置いたり、時間をかけておやつを探し出せる知育おもちゃを与えたりするのも、孤独感を和らげるのに有効な方法です。

いずれにしても、マイクロブタの飼育を考える際は、ご自身のライフスタイルで長時間の留守番が常態化しないかが一つの重要なポイントになります。彼らの習性を理解し、できるだけストレスを与えない工夫をしてあげることが求められます。

人には懐くの?鳴き声でわかる気持ちのサイン

「マイクロブタは犬や猫のように人に懐くのか」という点は、ペットとして迎える上で非常に気になるところでしょう。はい、マイクロブタは非常に知能が高く、愛情を持って接することで飼い主や家族によく懐きます。そして、その豊かな感情は、鳴き声の種類の違いによってある程度読み取ることが可能です。

マイクロブタは、自分の名前を覚えるだけでなく、家族の顔ぶれや生活のリズムをしっかりと理解します。信頼関係が築かれると、自ら膝の上に乗ってきたり、体をすり寄せてきたりと、愛情深い一面を見せてくれます。

このような気持ちは、鳴き声にもはっきりと表れます。 例えば、飼い主に優しく撫でられている時や、日向ぼっこをしている時など、リラックスして満足している状態では、穏やかな声で「ブッ、ブッ」と鼻を鳴らします。また、飼い主のそばで口を静かにクチャクチャと動かしている時は、心から安心しきっている甘えのサインです。

一方で、前述の通り、甲高い「キーキー」という鳴き声は、恐怖や強い不満を表しています。何かに驚いたり、嫌なことをされそうになったりした時の反応です。

このように、鳴き声は彼らにとって大切なコミュニケーションツールなのです。ただ鳴き声を聞くだけでなく、「どんな声で鳴いているか」に注意を向けることで、彼らの気持ちをより深く理解できます。もちろん、個体差はありますが、日々の生活の中で注意深く観察していれば、あなたのペットが何を伝えたいのか、きっとわかるようになるでしょう。

鳴き声だけじゃない?知っておきたいマイクロブタの欠点

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マイクロブタとの生活を夢見る時、鳴き声の大きさは気になる点ですが、実はそれ以外にも知っておくべき「欠点」や注意点が存在します。これらを事前に理解しておくことが、後悔のないペットライフを送るための重要な鍵となります。

まず一つ目は、そのパワフルな鼻と探求心です。ブタには、鼻先で地面や物を強く掘り返す「鼻掘り」という習性があります。室内で飼育する場合、この行動が家具や壁紙、床などを傷つけてしまう可能性があります。

言ってしまえば、彼らの力は想像以上に強く、頑丈な柵でさえ動かしてしまうこともあります。電源ケーブルのような危険なものを噛んでしまうリスクも考えられるため、彼らが過ごすスペースの安全対策は飼い主の必須の務めです。

次に、食事管理の難しさが挙げられます。マイクロブタは食欲旺盛で、満腹感を得にくい体の構造をしています。そのため、欲しがるだけ食事を与えていると、あっという間に肥満になり、関節や内臓に負担がかかるなど、深刻な健康問題を引き起こしかねません。毎日のごはんの量を体重や体型に合わせて厳密に管理し、健康を維持する責任は、全面的に飼い主に委ねられます。

また、そもそもブタを診察できる動物病院が限られているという現実も、大きな欠点と言えるでしょう。犬や猫が一般的なペットであるのに対し、マイクロブタの専門的な知識を持つ獣医師はまだ多くありません。近隣に頼れる病院がない場合、遠方まで通う必要が出てきます。緊急時の対応を考えると、この点は飼育を始める前に必ず確認しておくべき事柄です。

このように、マイクロブタとの生活は、ただ可愛いだけでは成り立ちません。彼らの習性に起因する様々な課題に対して、時間、費用、そして労力をかけて向き合えるか、ご自身の生活環境と照らし合わせて慎重に検討することが必要です。

気になる音やニオイは?よだれの多さと口臭予防

マイクロブタとの共同生活では、鳴き声以外にも、飼い主が知っておくべき音やニオイが存在します。特に「よだれの多さ」と「口臭」は、日々のケアが求められるポイントです。

マイクロブタは、生理的な特徴としてよだれが多い傾向にあります。これは、ごはんを期待している時や何かに興奮した際に、唾液の分泌が活発になるためです。特に、優れた嗅覚で食べ物の匂いを察知すると、口の両端から泡のようなよだれが垂れてくることも珍しくありません。

これは本能的な反応であり、病気ではありませんが、放置すれば床や寝具が汚れてしまいます。そのため、清潔なタオルでこまめに拭いてあげるなど、飼い主によるケアが日常的に必要となります。

また、音に関しては、歯ぎしりや空咀嚼(くちゃくちゃと口を動かす行動)が挙げられます。これもブタの習性の一つで、リラックスしている時や、逆にストレスを感じている時に見られる行動です。音の大きさには個体差があるため、全く気にならない場合もあれば、人によっては少し気になるかもしれません。

そして、口臭は健康のバロメーターにもなる重要な注意点です。雑食性の動物であるブタは、口の中に食べかすが残りやすく、それが原因で歯垢が溜まり、口臭や歯周病につながることがあります。口臭を予防し、口腔内の健康を保つためには、日々の歯磨きが最も効果的です。

もちろん、最初から歯磨きを好む子はいません。犬用の歯ブラシや歯磨きシートなどを使い、幼い頃から少しずつ口の周りに触れられることに慣れさせ、遊びの延長として歯のケアを習慣づける工夫が大切になります。

「マイクロブタがうるさい」は序の口?後悔する前の知識

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  • 「こんなはずじゃ…」後悔する前によくある失敗談
  • 後悔の理由①:想像以上?マイクロブタの大人の大きさ
  • 子ブタの印象と違う?「可愛くない」と感じるギャップ
  • 後悔の理由②:「マイクロブタより小さい豚」は存在する?
  • 安易は危険!ネットの「譲ります」に潜むリスク
  • 「可哀想だから食べるな」という議論と向き合う
  • 10年以上の寿命を最後まで見届けられますか?

「こんなはずじゃ…」後悔する前によくある失敗談

マイクロブタとの生活は、計り知れない喜びと癒やしを与えてくれます。しかし、その一方で、飼育前の情報収集が不十分だったために「こんなはずではなかった」と後悔に至ってしまうケースが少なくないのも現実です。ここでは、そうした飼い主が陥りがちな失敗談の共通点をご紹介します。

最も多い失敗談は、やはり「大きさ」に関する誤解です。「マイクロ」という言葉のイメージから、成体になっても子犬ほどのサイズ感だろうと安易に考えてしまうのです。実際には中型犬ほどにまで成長するため、用意していた飼育スペースでは手狭になり、手に負えなくなってしまう問題が起きます。

また、お世話の手間を軽く考えていた、という声も多く聞かれます。前述の通り、要求や不安を伝える大きな鳴き声、パワフルな鼻で家具や壁を壊してしまういたずら、厳密な体重管理が求められる食事など、日々の飼育には想像以上の時間と労力が必要です。これらを「可愛いから」という理由だけで乗り越えるのは、簡単なことではありません。

さらに、経済的な負担の見通しの甘さも、後悔につながる大きな要因です。お迎えする際の生体価格はもちろんですが、毎月の食事代やトイレシーツといった消耗品費、そして何より、ペット保険の適用が難しいマイクロブタの高額になりがちな医療費など、継続的な出費は決して無視できません。

これらの失敗談に共通しているのは、ペットとして迎える前の「覚悟」と「知識」の不足です。この後の項目で解説するような具体的な後悔の理由を一つ一つ学び、ご自身の生活環境や経済状況と照らし合わせて、本当に終生飼育が可能かしっかりと考えることが、不幸な結末を防ぐ第一歩となります。

後悔の理由①:想像以上?マイクロブタの大人の大きさ

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マイクロブタを飼って後悔する最大の理由、それは成体になった時の「大きさ」が、飼い主の想像をはるかに超えてしまうことです。「マイクロ」という名称は、時に大きな誤解を生む原因となります。

まず理解しておくべきは、「マイクロブタ」が血統として確立された特定の品種名ではないという事実です。一般的に、「大人のブタの体重が18kgから40kg程度の、比較的小さなブタ」を指す総称として使われています。この定義には幅があり、実際には親の遺伝や食事環境によって、40kgを大きく超えるミニブタに近いサイズまで成長する個体もいます。

体重40kgという数字を他の動物で例えるなら、それはゴールデンレトリバーやブルドッグといった中型犬に匹敵します。お迎えした頃は片腕に収まるほど小さくても、多くのブタは1年から2年で急速に成長し、大人が抱き上げるのも一苦労というほどの大きさになります。

このダイナミックな成長を目の当たりにし、「こんなに大きくなるなんて聞いていない」と戸惑い、飼育スペースの確保や、日に日に増していく力の強さに対応できなくなってしまうのです。

このような後悔を避けるためには、お迎えする前に、その子の親ブタがどれくらいの大きさなのかをブリーダーに確認することが非常に重要です。信頼できる事業者であれば、遺伝的な情報についても誠実に説明してくれるでしょう。

お店の「あまり大きくなりませんよ」という言葉だけを鵜呑みにせず、ご自身で成体のブタの大きさを体感しておくことも大切です。最終的に中型犬サイズの動物と暮らすという現実を、具体的にイメージできるかどうかが問われます。

子ブタの印象と違う?「可愛くない」と感じるギャップ

愛情を込めて育てた家族に対して「可愛くない」と感じることは本来ないはずですが、マイクロブタの飼い主の中には、成長後の姿にギャップを感じてしまう人がいるのも事実です。これは、メディアやSNSで見る愛くるしい「子ブタ」のイメージが先行しすぎることが原因の一つです。

例えば、多くの人が魅了される子ブタのつるんとしたピンク色の肌。これも成長とともに変化します。皮膚は次第に厚く、しっかりとした質感になり、個体によってはシワが増えてきます。また、ブタの毛は意外にも硬い剛毛で、チクチクとした手触りです。

特に春から夏にかけての換毛期には、毛がごっそりと抜け落ちて地肌がまだらに見えることもあり、その野性味あふれる姿に「想像していたペットのイメージと違う」と感じてしまうかもしれません。

体型も、子ブタの頃のコロコロとした愛らしい姿から、がっしりとした力強い骨格へと変わっていきます。前述の通り、食事管理を徹底しないとすぐに脂肪がつき、目が埋もれてしまったり、お腹が地面についてしまったりと、不健康な見た目になってしまうこともあります。スマートな体型を維持するには、飼い主の並々ならぬ努力が必要です。

さらに、成長するにつれて鼻は長く大きくなり、オスであれば牙も発達してきます。より「ブタらしい」精悍な顔つきへの変化が、多くの人の記憶にある「赤ちゃんブタ」のイメージから離れていくため、ここでギャップを感じてしまうのです。

大切なのは、彼らも人間と同じように年を重ね、姿を変えていく一つの命であると理解することです。成長や変化の全てをありのままに受け入れ、愛し続けられるか、お迎えする前に自問することが、飼い主としての責任です。

後悔の理由②:「マイクロブタより小さい豚」は存在する?

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「マイクロブタが想像以上に大きくなるのなら、もっと小さい豚はいないのだろうか」と考える方は少なくありません。インターネット上では「ティーカップピッグ」や「ナノピッグ」といった、さらに小型であるかのような名称を見かけることもあります。しかし、結論から言うと、「マイクロブタより小さい、確立された品種」というものは公式には存在しません。

前述の通り、「マイクロブタ」という名称自体が、成体時の体重が18kg~40kg程度のブタを指す、あくまで便宜上の総称です。この定義よりも小さいことをうたう魅力的な名称は、残念ながら販売戦略の一環として使われているケースがほとんどです。過去に海外で「ティーカップピッグ」が流行した際には、実際にはミニブタや家畜用の子ブタを偽って高額で販売する悪質な業者が横行し、大きな社会問題となりました。

もちろん、マイクロブタの中にも個体差はあり、遺伝的に特に小柄で、成体になっても20kgに満たない子が存在するのも事実です。しかし、それはあくまで「個体差」の範囲内であり、「マイクロブタとは別の、より小さい種類の豚」というわけではありません。

生物の体を意図的に極端に小さくすることは、多くの健康上のリスクを伴います。無理な小型化を追求した交配は、遺伝的な疾患を持つ子や、生まれつき体が弱い子を生み出す可能性があり、倫理的な観点からも問題視されています。

したがって、「マイクロブタより小さい」という言葉に過度な期待を寄せるのは危険です。大切なのは、キャッチーな名称に惑わされることなく、その子の両親の大きさや血統、そしてブリーダーや販売者が信頼できるかどうかを、ご自身の目で見極めることです。健康なブタを家族として迎えることが、飼い主にとっても、そして何よりブタ自身にとっても、最も幸せな選択と言えるでしょう。

安易は危険!ネットの「譲ります」に潜むリスク

マイクロブタをお迎えするにあたり、専門のブリーダーやペットショップでの購入は費用がかかるため、インターネットの掲示板などで「譲ります」という里親募集を探す方もいらっしゃるかもしれません。しかし、この選択には大きなリスクが潜んでいることを理解しておく必要があります。安易な気持ちで個人間の譲渡に踏み切ることは、お勧めできません。

まず最も懸念されるのが、そのブタの健康状態や性格が不透明である点です。「家庭の事情でやむを得ず…」という譲渡理由の裏には、実は深刻な問題が隠されている可能性があります。

例えば、病気がちで高額な医療費に耐えられなくなった、あるいは、しつけがうまくいかず、噛み癖や破壊行動といった問題行動に手に負えなくなった、というケースも考えられます。ワクチン接種の履歴や、これまでの飼育環境についても、情報が正確である保証はありません。

また、残念ながら、劣悪な環境で繁殖させたブタを「家庭で飼えなくなった」と偽って手放そうとする、悪質な業者が一般の飼い主を装って紛れ込んでいる可能性も否定できません。このようなブタは、心身ともに健康上の問題を抱えていることが多く、新しい環境に馴染むのに大変な苦労を伴います。さらに、譲渡は無料でも、輸送費や手数料と称して金銭を要求される詐欺のようなトラブルに巻き込まれる危険性もあります。

もちろん、全ての個人譲渡が危険というわけではなく、本当にやむを得ない事情で、愛情を込めて育てた家族のために、新しい飼い主を真剣に探している方もいらっしゃいます。

もし個人からの譲渡を検討する場合は、即決せず、何度もコミュニケーションを取り、可能であれば現在の飼育環境を直接訪問させてもらうなど、相手の信頼性を慎重に確認することが不可欠です。しかし、特に初めてブタを飼う方にとっては、飼育後のサポートも期待できる信頼性の高い専門店からお迎えする方が、結果的に安心への近道と言えるでしょう。

日本でのマイクロブタさん人気にともない、悪質な業者が発生しています。実際にイギリスでは、悪質な業者により、家畜ブタさんやミニブタさんをマイクロブタさんと偽って販売され、想定以上に大きくなったため、飼育放棄されたという悲しい出来事が発生しました。今後、日本においても同じ過ちを繰り返さないために、無責任な販売業者からお迎えしないように、ご注意ください。

  • 「ブタさんは飼いやすいですよ」など、ポジティブな情報発信のみ行い、しつこい営業をする
  • 「すぐにブタさんをお引渡しできますよ」と、常にブタさんがお引渡しできる状態
  • 去勢避妊手術、ワクチン接種を行わずにお引渡し
  • 「マイクロ」や「ナノ」などの名称を使い小ささを過剰に訴求している
  • 生後間もない(56日以下)の子ブタを販売している(動物愛護法では生後56日を経過しない犬猫の販売を禁止しています)

人気の出た動物をいきなり取扱いはじめた業者は、ブタさんの知識不足であったり、飼育放棄への対策もなかったり、利益重視で、売れ残ることを恐れ、しつこい営業をする可能性が高いです。また、インターネットのみでの販売は、動物愛護法で禁止されています。

引用元:mipig(マイピッグ)

「可哀想だから食べるな」という議論と向き合う

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マイクロブタをペットとして家族に迎えることを話すと、「ブタは食べるものなのに可哀想」といった意見を耳にすることがあるかもしれません。また、飼い主自身も、その愛くるしい姿と日々触れ合う中で、豚肉を食べることに対して複雑な気持ちを抱くようになることがあります。これは、マイクロブタと暮らす上で避けては通れない、根深い議論です。

まず、「ペットにすること自体が可哀想」という意見の背景には、ブタが古くから食用家畜として人間の生活を支えてきた歴史があります。しかし、犬や猫がそうであったように、動物と人間の関係性は時代と共に変化していくものです。

マイクロブタは、愛玩動物として人間とより良い関係を築けるようにと、長い年月をかけて改良されてきた存在です。大切なのは、周囲の価値観に揺らぐことなく、目の前にいる一つの命をかけがえのない「家族」として尊重し、その生涯に責任を持つという、飼い主自身の確固たる覚悟です。

一方で、実際にマイクロブタとの生活を始めると、その知性や豊かな感情表現に驚かされ、これまで当たり前のように食べていた豚肉に対して、心理的な抵抗感が芽生える飼い主は少なくありません。スーパーの精肉売り場を直視できなくなったり、外食のメニュー選びに悩んだりするようになることもあります。

これは、食肉として消費されるブタと、家族である愛するペットとの境界線を引けなくなる、ごく自然な感情の変化です。ご自身の食生活が変わる可能性も、飼育がもたらすリアルな影響の一つとして、あらかじめ心に留めておく必要があるでしょう。

このテーマに絶対的な正解はありません。重要なのは、マイクロブタを一個の感情ある動物として深く理解し、その命を預かることの意味を真剣に考えることです。そうして生まれた自分自身の考えを持つことができれば、周囲の声にも、自らの心の変化にも、誠実に向き合えるはずです。

10年以上の寿命を最後まで見届けられますか?

マイクロブタの寿命は、一般的に10年から15年と言われています。これは、犬や猫といった他のペットと何ら変わりない、非常に長い年月です。この長い時間を、どんな時も変わらず共に歩み続け、最後までその命を見届ける覚悟があるかどうか。これは、マイクロブタを飼う資格があるかを判断する、最も重く、そして最も重要な問いかけです。

10年、15年という歳月の中では、飼い主自身の生活もまた、大きく変化するでしょう。就職や転職、結婚、出産、あるいは転勤や引っ越しといった、人生の大きな転機が訪れる可能性があります。

どのようなライフステージの変化があっても、責任を持って飼育を継続できるか、具体的なシミュレーションが不可欠です。特に、賃貸住宅では「ペット可」であっても、ブタの飼育は認められないケースが多く、将来的に住居の選択肢が限られるという現実も受け入れなければなりません。

また、人間と同じように、ブタも必ず年を取ります。若い頃は元気いっぱいに走り回っていても、やがて足腰が弱り、介護が必要になる時が来るかもしれません。

病気がちになり、動物病院へ通う頻度が増えることも考えられます。その時には、医療費の負担だけでなく、日々のケアにかける時間や労力も大きくなります。愛らしい子ブタの姿だけでなく、老いていく姿もすべて受け入れ、最後まで優しく寄り添う覚悟が求められます。

マイクロブタを家族として迎えるということは、流行や一時の感情で決断してよいことではありません。15年後の未来を想像してみてください。その時も、隣で穏やかに眠るブタの体を、変わらぬ愛情を込めて撫でてあげているご自身の姿を、確信を持って思い描けるでしょうか。それが、お迎えする前の最終チェックポイントです。

マイクロブタはうるさいだけじゃない? 総括

マイクロブタは、要求や不安から「うるさい」と感じるほど鳴くことがあります。しかし、後悔の理由はそれだけではありません。想像以上に大きく成長する現実や、厳密な食事管理、パワフルないたずらへの対策も不可欠です。10年以上の長い寿命を最後まで見届ける覚悟を持ち、正しい知識を得ることが幸せなペットライフの第一歩です。

記事のポイントをまとめます。

  • 大きな鳴き声は、強い要求や恐怖、不安のサインである
  • 留守番が苦手なのは、本来群れで生活する習性を持つためだ
  • 鳴き声のトーンで、リラックスや満足などの感情を読み取れる
  • パワフルな鼻で家具や壁を壊すといった、いたずらの可能性がある
  • 食欲旺盛で肥満になりやすく、飼い主による厳格な食事管理が必須
  • 専門的に診察できる動物病院が限られており、事前の確認が重要
  • よだれが多く出ることがあり、こまめなケアが必要となる
  • 口臭が発生しやすいため、日々の歯磨きが健康維持に繋がる
  • 「マイクロ」という名だが、成体は中型犬ほどの大きさ(最大40kg)になる
  • 成長すると皮膚や毛質が変化し、子ブタの印象とは異なる姿になる
  • 確立された「マイクロブタより小さい豚」という品種は存在しない
  • ネットの個人譲渡は、健康状態や情報が不確かでリスクが高い
  • ペットとして飼うことで、豚肉を食べることへの葛藤が生まれることがある
  • 寿命は10年から15年と長く、終生飼育の覚悟が問われる
  • 自身のライフステージの変化に対応し、飼い続けられるかが重要である
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